会社と自宅を往復する毎日。
気付けば1日が終わり、1ヶ月が過ぎ、こんな日々の繰り返しで良いのか悶々と悩んでいました。
そこでふと「時間について考える小説を読みたい」と思い、ドイツの児童書『モモ』を購入しました。
この本はとても有名な本なので、幼少期に一度は読んだことのある方もおられるかもしれませんが、複雑な現代を生きる大人の方にこそ読んでほしい、そう思う一冊でした。
児童書『モモ』はどんな本?
町はずれの円形劇場跡に住みついた、少し奇妙な格好をした少女モモ。町の人たちは、みんなでモモの面倒を見ることにしました。
人々は、モモに話を聞いてもらうと不思議と幸福な気持ちになるのでした。
ところが、そんな町に現れた「灰色の男たち」によって、人々の「時間」が盗まれてしまいます。
心の豊かさとは何か
普段、時間について深く考えることはありません。
「時間がない」「仕事が忙しい」そんな言葉が口癖になっていますが、どこでどんな風に働くのか・どんな時間の使い方をするのか、考えるのはほかでもない自分自身です。
お金に目がくらみ、豊かな生活と引き換えに自分たちの時間を失っていく… 灰色の男たちに時間を奪われてしまった「モモ」の世界はまるで現代の日本社会のようだと感じました。
会社で働いていると、時間を拘束された生活になります。 生活のために働くことは必要ですが、働いてばかりいると心の豊かさを失います。
難しい感覚ですが、人生というのはせっかくの自分に与えられた時間なのだから、もう少しありのままに楽しんでも良いのではないか、と時々思うのです。
私がこの本で一番好きな部分。それは、モモがカメのカシオペイアと一緒に目的の場所まで向かう場面です。
モモは急いでいるのでカシオペイアに「もっと早く歩けないのか」と問いますが、カシオペイアは今までよりもゆっくりゆっくり歩き始めます。
カシオペイアが放った言葉は『オソイホドハヤイ』
やがて、モモはその方が早く進めるということに気づきます。
この下りのように、現実の人生でも、焦っているときは上手くいかなかったのに、自分のペースでやってみたらなぜか事がうまく運ぶ。そんな経験が何度かあります。
それは、ゆっくり地道に進んでいるときこそ感覚が研ぎ澄まされ、過程の中に新たな学びや発見があるからかもしれません。
富や名声にとらわれることなく、自分のペースでゆっくり人生を楽しめば良い。本当の心の豊かさとは何なのか、考えさせられる本です。
子どもさんはもちろんのこと、今を生きる大人の方々にぜひ読んでいただきたい一冊です。
焦らずゆっくり、自分のペースで。